物忘れ

私事ですが最近、昔と比較して記憶力が落ちていると感じています。実際に「物忘れ」が多くなり、家族からは「ボケたんじゃない?」「認知症なんじゃない?」と言われます。記憶力が落ちている自覚があるので、結構、傷ついています。自分の症状は認知症ではないと思っていますが、加齢に伴う「物忘れ」と認知症による「物忘れ」の違いを確認してみたいと思います。
加齢に伴う「物忘れ」と認知症による「物忘れ」の違いは、忘れてしまったことを自覚できるかどうかの違いです。一般的に健康な人の「物忘れ」は、約束をしたことを忘れてしまったり、片付けたものをどこにしまったのかを忘れてしまうような場合に、約束をしたことや片付けたこと自体は覚えていて、「自分が忘れてしまった!」ということを自覚しています。一方、認知症による「物忘れ」は、自分が忘れていること自体を忘れて思い出せず、忘れたことを自覚することができなくなっています。認知症の「物忘れ」の場合は、体験自体を忘れているので、本人は理由がわからず、「そんな約束はしていない」とか、「誰かに盗まれた」といって怒り出すことがあります。
認知症は、早期発見することができれば、薬や運動療法によって進行を遅らせることができます。早期発見のためには、認知症の初期症状と、単なる加齢による「物忘れ」との違いを知っておくことが大切です。
記憶力は20歳代をピークに加齢とともに低下します。一方で記憶力以外の脳の力は経験や体験で鍛えることができると言われます。「物忘れ」が増えたことを歳だからと諦めずに、前向きな気持ちで新しい経験や発見を増やしてバランスよく脳を使うことで脳の若さを保ちましょう。それ以外にも「物忘れ」は精神的ストレスや過労、寝不足などによって、集中力が低下することでも起こります。これは心身に疲れが溜まっているサインですから、十分な休息をとって疲れを回復させることも「物忘れ」の対策には必要です。

医療法人社団 清水橋クリニック 労働衛生コンサルタント 医師 古川 泰

挿絵:special thanks gallery ogiwara

2015年10月15日