定期的な運動と健康維持

定期的な運動と健康維持
新型コロナウイルスの流行で私たちの生活に様々な変化が生じました。外出の機会が減り、運動の頻度が減っているという方も多いのではないでしょうか。定期的な運動は、心血管疾患、糖尿病、がんなどの予防のための重要な要素です。その他にも認知機能の低下やうつ病・不安の症状の予防など、精神的な健康にも有益であると言われています。
WHO(世界保健機関)では、2020年に「身体活動・座位行動ガイドライン」を発行し、健康リスクを軽減するために必要な身体活動の量(頻度、強度、持続時間)について、エビデンスに基づいて年齢別の推奨事項を提示しています。
18歳から64歳の成人では、
・1週間の合計で歩行などの中強度の有酸素運動を150~300分
・1週間の合計でジョギングや水泳などの高強度の有酸素運動を75~150分
・中強度と高強度の運動の組み合わせで同程度以上の時間の運動
のいずれかを実施することを推奨しています。
また、座っている時間を減らし、立ったり歩いたりする時間を増やすことも推奨しています。実際、肥満者は非肥満者に比べて座って過ごす時間が1日あたり164分も多く、この時間を立ったり歩いたりして過ごすことで1日352kcaものエネルギー消費が増えるとの報告があります。運動を習慣化することは、なかなか始めにくいものですが、「通勤の際に歩く時間を少しだけ増やす。電車やバスで立っている時間を増やしてみる。」ということをするだけでも効果が期待できます。最新のスマートウォッチでは心拍数等を測定することで、運動の強度や時間を記録する機能が付いたものが発売されています。私も最新のスマートウォッチを購入して運動量をチェックしていますが、運動量等が目に見えるようになり、帰宅するときに目標値に届いていないと少し遠回りして帰るようになりました。推奨量を満たしていない場合でも、健康効果は得られます。毎日ではなく、1週間の中で動く時間を今より少しだけ増やすことを意識してみてはいかがでしょうか。

医療法人社団 清水橋クリニック 労働衛生コンサルタント 医師 古川 泰

挿絵:special thanks gallery ogiwara

2023年01月16日