眠りの質と体温


 季節も春から梅雨時期となり、寝苦しい夜が増えてきました。蒸し暑い夜になかなか眠りにつけないという経験がある方も多いと思います。一般的に眠れない原因としては体の不調や環境の変化、精神的ストレスなどいろいろなことが考えられます。原因の一つとして、意外かもしれませんが、「体温」があります。手足が冷たくて眠れないとか体が火照って眠れないということもよく聞きます。質の良い睡眠と体温には密接な関係があります。今回は快適に眠るために「体温」のかかわりを考えてみたいと思います。
 「体温」は1日を通してある範囲内で変動します。ご存じのように人には、睡眠と覚醒をなどのリズムを作りだす仕組みがあります。これを体内時計と言います。「体温」も体内時計にあわせてコントロールされていくのですが、具体的には脳からの指令によって、熱の産生と放熱のバランスを調整して「体温」を適正な状態にコントロールしていきます。日中、活動している時には「体温」は高く、夜眠っている間には「体温」は低くなります。この場合の
「体温」は体の表面ではなく、深部体温と呼ばれる内臓などの体の内部の温度です。眠くなると手足が暖かくなることがありますが、体の表面を暖かくして熱を放散することで深部体温を低下させ、眠りにつきやすいようにしてくれています。
 良い眠りを得るために、この「体温」の変化をうまく利用することもできます。よく寝る前にぬるめのお風呂に入るとよいと言いますが、お風呂に入ると「体温」は上がってしまいます。人間の体は
「体温」を保とうとするため、「体温」があがるとこれを下げようとする機能が働きます。入浴後1時間半くらいのところで丁度、「体温」が下がってくるので、眠るのには絶好のタイミングがやってきます。このほかにも、部屋の温度を眠り始めの時は低めに設定したり、眠り始めの時だけ扇風機を利用するのもよい方法です。質のよい睡眠をとるために、「体温」のコントロールという観点で工夫をされてみてください。

医療法人社団 清水橋クリニック 労働衛生コンサルタント 医師 古川 泰

挿絵:special thanks gallery ogiwara

2017年06月15日